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2016年5月13日 (金)

チェルノブイリ30年から何を学ぶか12

強制移住区域には警察が立ち、人を入れないようにしている。
高汚染のドローチ村には、何家族かが残っていた。
飛行機おじさんがいた村だ。

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飛行機おじさんは、人が住めない村になっても、移住する気にはなれなかった。
自分で夢だった飛行機をつくり、それを放棄したくなかった。
だれもいなくった村の土を固め、滑走路をつくっていた。
飛行機の形はほぼ完成し、あとはエンジンを入れるだけだった。
見えない放射能は怖い。
だから、余分な放射能はできるだけ浴びるべきではない。
だが、高齢者の場合は、ある程度、自分で選んでもいいのだろうとぼくは思っている。
放射能の見える化をし、測定した食べ物だけを食べ、健康診断を受け、体内被曝を測定する。
それで安全を確認できれば、好きなところに住んでもいいのではないか。
残念なことに、飛行機おじさんは飛行機を飛ばすことはできなかった。
亡くなったようだ。
目を閉じると、飛行機おじさんが空高く舞い上がっている姿が浮かぶ。
ときには夢に生きてもいいのではないかと思う。

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