地域包括ケアシステムとは何か4
諏訪中央病院の緩和ケア病棟に、ある患者さんが入院している。
がんの末期で脳転移があり、一時意識がなかったが、ステロイドを使うことで意思の疎通ができるようになった。
ぼくがチェルノブイリに行くときも、「先生、気を付けて行ってきてください」、帰国すると「よく帰ってきたわね」とにこにこと笑顔で迎えてくれた。
左手は脳にある腫瘍のために動かない。
でも、穏やかないい顔をしている。
諏訪中央病院には、全国から医学生が研修に来ている。
関西出身の彼女は、関西からの医学生が来ると喜ぶ。
ぼくを指導してくれている緩和ケアの部長も関西出身。
看護師も関西から来た。
なんとなく、病室が関西の言葉でやわらかくなり、穏やかな空気が流れた。
この日は、信州の山がよく見えるように、ベッドの位置を移動させていた。
窓からの景色に、心がなごむと、うれしそうだった。
別の患者さんは、一般病棟に移った。
ぼくが行くのを楽しみにしてくれている人で、ちょっとお酒が好き。
緩和ケア病棟では少しならば、飲みたいときに飲んでいいと言っている。
ちょっと飲むと、もともと楽しい人がもっと楽しくなる。
この人の明るさに、救われているスタッフも多い。
一般病棟に移ったこの患者さんを訪ね、「忘れていないよ」とあいさつに行ったら、
「今朝、緩和ケアの部長の先生も挨拶にきてくれた」と言う。
“みんながあなた(患者さん)を忘れていません、あなたの側にいます”という空気が漂っていて、うれしくなった。
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