地域包括ケアシステムとは何か8
医療は非日常的な行為になりやすい。
しかし、いつも生活に根差したケアをすることで、日常と断絶しないように心がけてきた。
それが地域医療の大事な柱だと思ってきた。
55歳で引退し、名誉院長になってから、週2回ほど回診や在宅医療、外来をやってきた。
できるだけ病院の方針に関しては、特別な発言をしないようにしながら、病院を見てきたが、
間違いなく病院は進歩し、高度医療や救急医療のレベルは上がっている。
医療は助けてナンボだから、ここが大事なのである。
と同時に、患者さんの生活や心、スピリチュアルな面によりそうあたたかな医療も行われている。
「黒と青」がベストセラーになったアナ・クィンドレンの「幸せへの扉 世界一小さなアドバイス」(集英社)には、「大事なことは目的地ではなく、道中」だと書かれている。
人生は、道中が大事なのだ。
この本の最後に、こんなくだりがある。
ホームレスの男が、夏が終わり寂しくなった海を幸せそうに見ている。
その男に、なぜ、入院してアルコール依存症の治療を受けないのかと聞いた。
すると、彼は、「見てごらん、この眺めを」と答えた。
それ以来、風景を眺めるように心しているという。
ただ風景をみるだけ。でも、「心をこめて、すべてみてごらん」
これが、クィンドレンのアドバイスだ。
医療のなかにも、取り入れてきた。
風景を眺めることの大事さも知っている。
患者さんが桜が見たいといえば、一緒に花見に行った。
新婚の時代に過ごしたふるさとをみてみたいといわれ、一緒に行ったこともある。
人間は風景とともに生きてきたのだ。
その人の風景を大切にする地域医療でありたいと思う。
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