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2016年5月23日 (月)

地域包括ケアシステムとは何か5

漢字は一つひとつの構造に意味がある。
「医」の旧字は「醫」と書く。
諸説あるが、左上の「医」は、人間が矢を引いている状態を表している。
技術を示しているのだ。
医療はすぐれた技術ということだ。
ぼくが諏訪中央病院のリーダーになったとき、
救急医療や高度医療が充実した、すぐれた技術をもつ病院をつくりたいと思った。
医療は命を助けてナンボだからである。
「醫」は簡略化され、現在は「医」が一般に使われているが、
そのころから医療は技術オンリーになっていったような気がする。
日本人は医療に対して、もっと深い思いをもっていたのではないか。
それが右上と下の部首に現れているのではないか。

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右上は「役」のつくりである。
役に立つ、つまり、奉仕という意味を示しているのではないか。
医療には、奉仕という意味合いもあったのではないか。
そして「酉」。。
酒壺に酒が入れられ、神に奉る、つまり祈りである。
どんなに優れた技術を用いても、助けられないことを知っていた。
医療をする側も、受ける側も、技術の限界を知っていたからこそ、奉仕の心や祈りを必要としたのだと思う。
地域医療をつくるとき、95%くらいはの救急医療や高度医療を大事にしながら、
数パーセントは地域のために役立ちたいと思い、健康づくりのために地域に出て行った。
そして、地方の小さな病院だが、緩和ケア病棟をつくったのは、祈りのような気持をもち、最後までその人らしく生きることができるように、サポートしたいと思ったからだ。
それが新しい医療のスタイルだと思った。
人口5万7000人の小さな町で、救急医療と高度医療、健康づくり運動、在宅医療、緩和医療の5つをバランスよく展開しようと思ったら、
自然に地域包括ケアというスタイルになった。
20年ほど前から「地域包括ケア」という言葉を使いながら展開してきたスタイルは、今も続いている。

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