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2016年5月30日 (月)

名古屋小児がん基金設立

難治性の小児がんの新しい治療の開発と提供に取り組む「名古屋小児がん基金」が設立された。
今年3月まで名古屋大学小児科の教授だった小島勢二先生が中心になり、
愛知県がんセンターの木下総長や鎌田が顧問として応援団を務める。

160523dsc_0618 名古屋小児がん基金設立記念講演会の様子

基金では、小児がんの治療成績を上げるための新しい治療法の開発と提供、治療環境の整備などを行っていく。
たとえば、小児白血病の治療後、残存白血病細胞を調べるが、今までとは桁違いの何万という白血球を一気に調べることができる検査や、すべての遺伝子を一気に検査する次世代シークエンスを用いた遺伝子診断法などを導入する。
この遺伝子診断法では、遺伝子から小児がんの特徴を解明することができる。
ぼくは12年間、イラクの白血病の子どもたちの医療支援をしてきた。
劣化ウラン弾が小児がんに関係しているのではないかと言われ、JCFのリカア先生が、RNAの遺伝子解析を行ってきたが、劣化ウラン弾と小児がんとの因果関係を証明することはできなかった。
この遺伝子診断を用いれば、劣化ウラン弾が遺伝子異常を起こしているかどうかわかる可能性がある。
また、基金では、CAR-T細胞療法という画期的な免疫療法の確立にも取り組んでいる。
この治療法は急性白血病の治療法であるが、おそらくほかのがんにも期待できる。
この治療を提供できるようになれば、日本の難治性の白血病の子どもたちだけでなく、アジアの恵まれない子どもたちを治療することができる。
ぼくが支援してきた、イラクの白血病の子どもたちにとっても朗報である。
5/22、名古屋小児がん基金設立記念講演会があり、講演してきた。
ぜひ、こうした基金があることに関心をもっていただきたい。
ぼくもこれからも、名古屋小児がん基金を応援していこうと思う。

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