地域包括ケアシステムとは何か10
1999年地域医療研究会の研究会が茅野市で開かれた。
そのとき、ぼくは会長で、全国から地域医療を目指している医師や看護師、
ソーシャルワーカーなど医療看護介護系の人たちと、市民が約500人集まった。
テーマは「真の地域包括ケアを目指して」だった。
諏訪中央病院は、40年ほど前から救急医療や高度医療を軸にしながら、
在宅医療、健康づくり、死を看取る医療を地域包括ケアという名のもとに展開してきた。
病院の隣に、デイケアや老人保健施設、特別養護老人ホームをつくるなど、グループ内の複合体が、一つのモデルになり、当時、年間約2000人の見学者がやってきた。
だが、ぼくたちは、もっと違う形を考えていた。
グループ内で完成しつつある複合体を解体して、「ネットワーク型の地域包括ケア」を考えていたのだ。
もともと医師会と仲が良かった。
在宅ケアに興味をもつ開業医の先生たちも多かった。
なかには、グループホームや老人保健施設、特別養護老人ホームをつくる先生もいた。
民間のデイサービスや、NPOでデイサービスや訪問介護をするところも出てきた。
諏訪中央病院が全部をコントロールしようとするのは、時代遅れと考えたのである。
諏訪中央病院は「時間的」「空間的」「内容的」に地域に開かれた病院を目指してきた。
グループの複合体を強化するのではなく、地域で生まれてきた芽とネットワークを結ぶことで、
地域の人たちの健康と命を多重的に支えていこうと考えたのである。
それから16年、ネットワーク型の地域包括ケアが地域に根差しつつあると実感している。
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