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2016年6月 2日 (木)

地域包括ケアシステムとは何か11

魅力的な人と出会った。
東北学院大学の教授、金菱清さん。
文芸春秋が今後10年間、「世界的に活躍できる逸材108人」の一人である。
「震災学入門 死生観からの社会構築」(ちくま新書)や「呼び覚まされる霊性の震災学」(新曜社)を読んだが、とてもおもしろい。
彼は、被災者が直面している、徹底した弱さの論理からの思考方法を考えたという。
捨てられそうになっている人たちに視点を集めている。
被災地でたくさんの「幽霊」の話が出てくる。
死者の問題から逃げないように、死者たちの無念を忘れないように、霊魂への畏敬の念を大事にしようと、彼はこんなことをいっている。
「死者が呼びかける対象である以上に、死者が呼びかけを行う主体であるとき、
私たちは感受性を研ぎ澄まし、霊性である生ける死者からの声にどれだけ耳を傾けていけるだろうか。
私たちの想像力がむしろ問われている」

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ぼくは死を看取る医療にこだってきた。
どんなに医療が発達しても、人間は死を避けることができない。
だからこそ、死から逃げない医療を、地域包括ケアのなかで展開したいと思った。
死者に呼びかけをしていくというのはとても大事なことである。
同時に、金菱先生は、死者も呼びかけをしており、その声を感受性を研ぎ澄ませて受け止めてあげることが大事だという。
6月の第一土曜、諏訪中央病院緩和ケア病棟の家族会がある。
亡くなった人たちを忘れないようにしている。
亡くなった人に呼びかけ、そして亡くなった人からの呼びかけを受け止める感性をもつ地域包括ケアを展開していきたいものだ。

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