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2016年6月21日 (火)

地域包括ケアシステムとは何か23

76歳の膀胱がんの男性が緩和ケア病棟に入院してきた。
多発リンパ腺転移で、回腸導管で人工肛門造設。
がん性の胸膜炎と腹膜炎をおこし、胸水と腹水がたまっていた。
たいへんな状態だが、本人の意識ははっきりしており、在宅療養を望んでいる。
状態の改善をし、残された時間を有意義に過ごしてもらうためにできるだけ早く自宅に帰すことになった。
ぼくは、緩和ケア病棟を回診した後、自宅に戻った患者さんを往診した。
オピオイド系の医療用麻薬を使うことで、痛みはほとんどコントロールできている。
眠る時間は長いが、呼びかけると、にこにこして迎えてくれた。
本人も、家族も、できるだけ自宅で、と望んでいる。
場合によっては看取りも自宅で、と望んでいるが、もちろんどうなるかはわからない。
それでいいのである。
状況によって揺れ動いてもいいのである。
地域包括ケアはふところが深い。
基本的には患者さんや家族が何を望むか、それにこたえていけばいいのである。

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内閣府の規制改革会議は、在宅での看取りの規制の見直しを始めている。
できるだけ、緩やかにしたほうがいい。
早い時期に死亡することが医師によって予想されていて、看護師との十分な連携がとれ、
医師が速やかな対面での死後診察が困難ときに、訪問看護師士が医師と電話連絡をとりながら、
死亡確認をしてもかまわないのではないかと思う。
この地域の地域包括ケアは、病院と医師、開業医間の連携が密であり、自宅での看取りを支えている。
しかし、地域によっては医師のバックアップ体制が十分ではなく、医師が24時間体制で看取りをすると、通常の診療行為に支障をきたすことも出てくる。
地域の人材の状況を柔軟に受け入れて、これでなければだめだというルールではなく、
21世紀の看取りを考えてくべきだと思う。
看取るということは、基本的には最期の瞬間まで生きるということである。
どこで生きるか、患者さん自身が選んでも、看取りの体制が十分でないところは結局、病院に入れられてしまう。
これでは、患者さんにとっても不幸であるし、病院にとっても本来の任務から外れ、医療費を上昇させてしまう。
自分の家で最期を迎えることを望んでいる場合には、できるだけ自宅での看取りを考えていくことがしかるべきだろう。

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