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2016年6月24日 (金)

地域包括ケアシステムとは何か26

東京から来た患者さんは、前立腺がんで骨転移がある。
がん性骨髄症で血液がつくれなくなり、極端な貧血を繰り返している。
東京の病院で、厳しい余命宣告をされた。
本人の希望は、「蓼科の山荘で最後を過ごすこと」だった。
3日間、諏訪中央病院の緩和ケア病棟に入院し、その間、在宅ケアの準備をした。
以前から鎌田の本を読んでいたと聞いて、看護師が「もう2、3日すると鎌田先生の回診がありますよ」と伝えたが、
「一刻も早く、自分の別荘に行きたい」ということで退院していかれた。
その報告を聞きながら、緩和ケア病棟の片岡先生と訪問診療をしている奥先生、京都大学からきている研修医の4人で、
訪問診療の軽自動車に乗り、蓼科まで行った。

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玄関のドアを開けた瞬間、奥さんが驚いた顔をし、涙目になった。
緩和ケア病棟で診たくれた医師と鎌田が来たことに驚いたようだ。
すでに、諏訪中央病院ではない、民間の訪問看護と訪問リハが入っている。
地域包括ケアは、公のサービスと民間のサービスを、垣根なく展開できるのがいいところだ。
前日の訪問リハでは、若い男性の理学療法士が患者さんの要望にこたえ、一緒に入浴した。
山荘には、温泉が引いてあり、それが自慢のようだった。
理学療法士も、裸になって、一緒に入ったという。
2人で温泉に入っている写真は、iPadで東京にいる娘さんや、往診医、訪問看護師らが共有してみた。
ぼくも写真を見たが、こんな幸せな写真はないのではないかと思うくらい、いい笑顔をしている。
患者さんと奥さんから「ぜひ、温泉に入っていってください」と強く勧められた。
心の中では迷った。
しかし、ぼくと奥先生と京大の医学部の学生は、えいやと裸になって入れてもらった。
43年間、在宅医療をやってきたが、こんなのは初めてだ。
人工肛門の患者さんたちとよく温泉に行ったが、患者さんのお宅で風呂に入るのは初めてだった。
患者さんも、奥さんも喜んだ。
なんか「裸の付き合い」ができている。
おそらくこういう空気にしてくれたのは、先に入ってくれた若い理学療法士のおかげだ。
地域包括ケアは、こういう人間関係を、地域に根差した形で築いていくことを可能にしてくれる。

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