鎌田劇場へようこそ!(283)
「とうもろこしの島」
グルジアの映画。
2015年アカデミー賞外国映画賞グルジア代表作品。
大きな川の中州に船で通いながら、トウモロコシをつくる祖父と孫娘。
孫の両親は戦争で亡くなったようだ。
そこに、グルジアと戦って負傷した兵隊が逃げてくる。
軍隊を恐れることなく、傷ついた人間を必死に介抱する。
命を救いながら、戦争には見向きもせず必死に作物をつくる老人と若い娘。
人間てこういうものなのだろうなと思わせてくれる。
しかし、突然、悲劇と絶望が訪れる。
そして、また中州で新しい物語が始まることを暗示して、映画は終わる。
とても静かで美しい映画だ。
アブハジア紛争を通し、人間が繰り返してきた愚行と不条理を、見事に感動的に描いている。
映画ってすごいなと思わせてくれる。
宮沢賢治のこんな言葉を思い出した。
「どうか憎むことのできない敵を殺さないでいいように、早くこの世界がなりますように。
そのためならばわたくしの体などは何べん引き裂かれてもかまいません」
憎んでもいないのに、ぼくたちは戦争してしまう。
やっかいな生きもの、人間。
それでも、その人間が愛おしい。
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