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2016年7月12日 (火)

鎌田實の一日一冊(294)

「ガーゴイル 転生する炎の愛」(アンドリュー・デイビッドソン著、徳間書店)
700年という時をかける壮大な愛の物語。
愛は、死のように強く、地獄のように激しい。
700年前から愛し合う二人が出てくる。
その主人公の男が自動車事故で火だるまになり、大やけどを負う。
「私がこのひどく醜い顔と忌まわしい肉体を自分のものとして受け入れたのは、
そのおかけで否応なく自分自身の枠を超えなくてはならなかったからだ。
以前の肉体では自分の枠のなかに隠れることができた」

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ダンテの「地獄編」のように、地獄を乗り越えていく愛の強さが描かれていく。
途中で、作者は狂気にとらわれ別の世界を生きているのではないかと勘ぐりたくなったが、
大陸を超えて広がった物語が見事に一つに集約されていき、すべて作者はコントロールしていたのだということにの気が付いた。
なんと、清少納言も出てきたりするのだ。
「アイシテイル」という日本語も出てくる。
この作者は、5年ほど、日本で英語の教師をしていたのだそう。
はじめは100社以上の出版社に断られたが、デビュー作としては破格の版権料でアメリカの出版社が刊行。
大ベストセラーになった。
「記憶と欲望のはざまの何もないこの空間で長い時を過ごし、このひびわれた文章の帝国をつくり上げた。
いま私はそこに住む」
大やけどを負った男の、献身的に支えてくれた女性への愛の物語でもある。

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