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2016年8月12日 (金)

鎌田實の一日一冊(298)

「記憶の渚にて」(白石一文著、KADOKAWA)
世界的ベストセラー作家が不審死を遂げる。
残された謎だらけのエッセイ。
記憶とは何か、時間とは何か。
世代を超えて、どう受け継がれていくか語られていく。
「時間というのは徹頭徹尾「私」の世界に所属し、「私たち」の世界には存在しない」
「掘り出された記憶は、採掘人の手を離れ、金鉱石同様に資源として集積されてさまざまな形に加工され、世界に流通していく」
記憶というのは、加工されていくということだ。

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「記憶というのは、私の内部に存在するのではなく、私の外部に大きな海のようなものとして広がっているのではないか」
作者は、「記憶の海」というのがあると言う。
その記憶の海には、何世代にもわたっ記憶がためられている。
未来への記憶もためられる。
「時間の迷宮」という小説のなかで、時間と記憶と「私」が語られていく。
自分とは何か、自分が過ごしてきた時間とは何か、
考えるきっかけをくれた小説だ。

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