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2016年8月 3日 (水)

地域包括ケアシステムとは何か43

ある男性は、手足に痙縮がある。
リハビリだけでは痙縮がなかなか改善しないため、往診でボトックス注射を受けた。
3か月に1回、20万円以上する注射である。
この男性の場合は、効果があったようで、在宅リハをしているPTも、
「明らかに痙縮がとれ、痛みも少なくなり、長下肢装具をつけて歩けるまでに回復した」という。
本人も「この注射をすすめてもらってよかった」とうれしそうだ。
家のなかも明るくなった。
往診するドクターや理学療法士が諏訪湖マラソンに出るので、車いすで応援に行こうという話になった。
ボトックス注射でこんなに局面が変わることもある。
しかし、治療は高い。
「年金生活だから、ずっとは難しい」と本人も言う。
 

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老後破産に近い状態の人が、全国に200万人以上いるといわれている。
破産はしていないが、年金受給者の4割が155万円以下の低所得といわれている。
地方の農山村や漁村では、おつきあいが残っていて、近所で野菜や魚のおすそわけをしたりする。
持ち家率も高い。
医療や介護が必要になったときは困るが、それまでは何とか生活していくことができる。
しかし、衣食住すべてにお金がかかる大都市での生活は、かなり厳しい。
二次医療圏ごとの健康データをみると、東京都のある地域や大阪府のある地域などはがんの死亡率が高い。
貧困と密接に関係している可能性がある。
医療にはお金がかかる。、
肺がんの治療薬オプジーポは、1年間使用すると3400万円近くかかる。
もちろん、高額療養費制度があり、ある額を超えるとお金は後で償還されるが、医療費を負担できないとなると、そこで命の格差が生じてくる。
ボトックスのような治療は、介護生活の質にもかかわってくる。
お金のあるなしが、命や介護の格差につながるようなことになってはいけない。
資本主義社会だから競争のなかである程度の差が生じるのは仕方ないにしても、命に関係することは例外であったほしい。

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