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2016年9月30日 (金)

地域包括ケアシステムとは何か55

多様なサービスのなかで、当事者や家族が選択できるということが大事だ。
胃瘻を置いている人は、26万人いるといわれている。
40万人という人もいる。
実態はよくわからない。
胃の内側と外側から穴をあけ、外からチューブを入れて栄養を送る治療法だ。
胃瘻にもメリットはある。
たとえば、孫の結婚式に出たいから、その日まで体力をつけたい、とか。
一時的な胃瘻で栄養をしっかりとって体力をつけ、いずれは閉鎖するという場合は、積極的にすすめたいくらいだ。
だが、本人の選択もなく、目標も明確にしないまま、ただ食べられなくなったから胃瘻を置くというのは、残酷な結果につながりすい。
地域包括ケアの現場では、その人の人生観を考えながら、ケアの方法を探ることが大事だ。
ポートをおいて、中心静脈栄養という方法もある。
手の静脈から点滴で栄養を入れる方法もあるが、点滴のあいだは手が固定されるので、
ぼくがされる側だったら、できたらしてもらいたくない。
中心静脈栄養のほうが、まだいい。
でも、これもいやだという人もいるかもしれない。
ぼくは、一時をしのぐための使い方なら、受けてもいいが、そのままずっとというはノーサンキューと言いたい。
鼻から胃に管を入れて高カロリーの流動食を入れる経鼻経管栄養という方法もある。
これも、鼻に当たって痛いので、ぼくが寝たきりになったときにはやってもらいたくない。
このことは、いっしょに往診をしている奥先生や、緩和ケア病棟の片岡先生には伝えている。
大事なことは、本人が選択し、その意思をみんなで尊重するシステムがあること。
そのためにも本人が元気なうちに、食べられなくったときにどうするか、意思を伝えておくことである。

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