鎌田劇場へようこそ!(298)
「ベストセラー 編集者パーキンズに捧ぐ」
久しぶりに、激しい人と人との関係性と人間の不思議さを描いた、迫力のある映画をみた。
友情の映画であり、父と子の映画であり、人間がいだく夢の映画である。
マックス・パーキンズは、ヘミングウェイやフィッツジェラルドなどを売り出した伝説的な編集者。
無名だったトスス・ウルフの作品をベストセラーにしていく。
パーキンズは何度も「君の作品だ」という。
ウルフの原稿を大幅に削除し、整理しても、最後のところは、作家にきちんと委ねている。
「失われしもの」というウルフ自身がつけたタイトルも、ウルフ自身が「天使よ故郷を見よ」と変えている。
本をつくるというのはこういうことか。
原稿の贅肉をそぎ落としているが、編集者は加筆をしていない。
タイトルも作家が決めている。
作家のなかで行動変容が起きてくるのを、じっと待っているのだ。
ロスト・ジェネレーション時代の作家たちは、生活そのものが文学だった。
そんな匂いが映画からたち込めてくる。
エンディングは圧巻。
37歳で亡くなるトマス・ウルフが、再びパーキンズの心に戻ってくる。
人間というやっかいな生きものを描きながら、2人の友情が涙を誘う。
名作だ。
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