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2016年10月22日 (土)

鎌田劇場へようこそ!(302)

「母の残像」
ノルウェーのヨアキム・トリアー監督が、ニューヨークを舞台に映画をつくった。
母は戦場カメラマン、3年前、戦場で死をとげた。
その母の回顧展を開くことになった。
夫と息子2人が、シリアでの作品がないことに気が付く。
そして、母の秘密にも気が付いていく。
父はやさしい父親で、不在がちな母に代わって、俳優をやめ、教師になった。
必死に息子たちによりそうが、次男とはどうもウマが合わない。
次男は父と若い教師がハグをしているところを見てしまい、爆発する。
次男には、母の死の真相が語られていなった。
長男は優秀で、大学教授になり、結婚し、子どもが生まれた。
しかし、長男にも、秘密がある。
それぞれが問題を抱えながら、家族の絆が少しずつ深まっていく。

Photo

詩情豊かなみずみずしい画面のなかに、ときどき、戦場カメラマンの母の活動が映る。
全体をとおして、生と死が語られる。
愛の複雑な姿も語られる。
それぞれが孤立しながら、もだえている姿が描かれていく。
監督の叔父は、鬼才ラース・フォン・トリアー監督。
鬼才の遺伝子を継ぐと、ヨーロッパで高い評価を得始めている。
すてきな作品だ。
「母の残像」という邦題は、的確ではないように思う。
たんに母を回顧する話ではない。
人間という秘密に迫る映画だと思う。

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