« 鎌田實の一日一冊(301) | トップページ | 鎌田劇場へようこそ!(296) »

2016年10月10日 (月)

地域包括ケアシステムとは何か59

なぜ、諏訪中央病院にロダンの彫刻があるのか。
「神の木を神の子がひく御柱」
という句を詠んだ原天明さんという有名な俳人が茅野市にいる。
NHKでも俳句の選者をしていた人だ。
その天明のお父さんを、ぼくは外来で長い間診ていた。
好奇心旺盛な人で70年前にロシアに行き、クロユリの種を持って帰り、自分の庭に咲かせたりした。
晩年の20年前くらい前から、この人は「遊行」を覚悟して生きる自由人だった。
脳卒中で倒れ、8日間ほど入院したが、
どうしても家がいいということで、息子の天明さんが本人のいうとおりに在宅医療に踏み切った。
諏訪中央病院の医師や看護師が往診するようになった。
91歳で天寿を全うした。
亡くなってしばらくしてから、天明さんからお礼の手紙が来た。
家での介護は、家族にとっては楽しい半年間だったという。
亡くなる一か月前に、紙をもってこさせ、里謡を口ずさんでそれを書かせたという。
「うちのそばには一年中お湯の出ているところあり」
実際は温泉が出ているところはないが、それほどあたたかいということらしい。
「日ごろ温泉好きだった父の満足感にあふれたうたであり、家族、親戚、友人、知人にあてた心からのメッセージでもあります」と天明さんは説明している。
ロダンの彫刻は、やはり茅野の有名な彫刻家矢崎虎夫さんから天明さんがうけついだもので、それを諏訪中央病院に寄贈してくれたのだ。
地域包括ケアは、人から人へ、人から地域へといろいろなものを「伝える」という働きのなかで、機能するシステムである。

|

« 鎌田實の一日一冊(301) | トップページ | 鎌田劇場へようこそ!(296) »

「医療・介護」カテゴリの記事