鎌田劇場へようこそ!(311)
「ヒトラーの忘れもの」
デンマークは5年間、ナチスに占領されていた。
ナチスは、連合軍のヨーロッパ上陸を防ぐために200万個の地雷を埋めた。
ドイツが降伏した後、その地雷撤去を命じられたのは、ドイツの少年兵だった。
多くのデンマークの人たちのドイツへの憎しみは、少年兵だからといって緩まなかった。
食べ物も満足に与えず、地雷撤去という危険な仕事をさせる。
半数近くの少年兵が死亡、もしくは負傷した。
精神的にもまいっていく。
少年兵たちを管理するデンマークの軍曹をみると、これではまるでナチスと一緒だと思ってしまう。
戦争はすべての人間を狂わせる。
その憎しみの連鎖が、美しい海岸を舞台に展開するのが痛々しい。
やがて軍曹の気持ちが揺れていく。
地雷を撤去した狭い範囲の海岸で、サッカーをして飛び回る光景はとても美しい。
デンマーク人軍曹と少年兵が自由に歩いている姿は、人間の自由の大切さを示している。
しかし、事態は一変。
軍曹の飼い犬が、撤去済みの安全なはずの地帯で爆死する。
軍曹は怒り、少年兵たちに地雷の取り残しがないか確認させる。
少年兵たちに、一糸乱れぬ整列で歩かせて。
整然と隊列を組むことが、どんなに不自然か、北朝鮮をみればわかる。
自由に、ゆるやかな列をつくって歩くことが、どんなに人間らしいか。
最後は感動のフィナーレ。
いい映画、ぜひ、たくさんの人にみてもらいたい。
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