鎌田劇場へようこそ!(319)
「こころに剣士を」
タイトルがよくないが、映画はすばらしい。
「よかったらコメントを」と言われていたが、忙しくもあり、断った。
その後、劇場でみたらとてもすばらしい。
映像がきれいだ。
監督は、クラウス・ハロ。フィンランドの名監督である。
2004年にイングマール・ベルイマン賞を受賞し、ベルイマン直々に賞をもらったという。
ハロ監督は「ヤコブへの手紙」という映画をつくっているが、これもいい映画だった。
目の見えない神父と、元囚人で行き場のない女性が森のなかで生活する物語だ。
この「こころに剣士を」は、バルト三国の一つエストニアを舞台にした話。
エストニアはかつてナチスに制圧され、若者はナチスドイツの軍人として戦争に行った。
その後、大戦末期にはソ連が占領。
スターリンの時代を迎えると、残酷な粛清が繰り返されるようになる。
そのなかで、レニングラードでフェンシングの有名選手だった男が、秘密警察に追われた。
隠れるようにして、エストニアの体育の教師をしていた。
子どもたちにフェンシングを教えはじめる。
子どもたちは、レニングラードで中学校のフェンシングの大会があることを知り、行きたいと願う。
主人公は、レニングラードに行けばつかまるのをわかっていながら、レニングラードに行く決意をする。
子どもと主人公との誠実なやりとりが、美しい映像で綴られる。
映画はいいなあ、としみじみと思った。
ハロ監督の面目躍如の作品である。
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