鎌田劇場へようこそ!(321)
「アイヒマンの後継者 ミルグラム博士の恐るべき告発」
アイヒマンはユダヤ人ホロコーストの中心的人物。
指名手配され南米で見つかり、イスラエルで裁判をうけた。
世界中でテレビ放送されたが、アイヒマンの姿はみんなを驚かせた。
極悪人というよりも、上からの命令はイエスマンで聞く男だったのだ。
ハンナ・アーレントは「凡庸」と言った。
自分では意思決定せず、命令に従い、かってにヒトラーの思いを忖度しながら、非人道的な大量虐殺を実行した。
社会学者スタンレー・ミルグラムは、ある実験をする。
アイヒマン実験である。
ふつうの市民が被検者。
生徒役の人が問題を間違えると、教師役は電気ショックを与える。
間違えば間違うほど強い電気ショックになり、生徒役は苦痛に身をよじる。
教師役はそれを知りながら、実験を続ける。
生徒役の声が聞こえなくなっても、命の確認をしにいく者はだれもいなかった。
ふつうの人のだれもが、アイヒマンになる可能性をもつことを示した実験である。
人間は思い込みや勝手な忖度により、簡単に盲従してしまう。
ある人の行動をまねをする同調行動も起こりやすい。
人間はそういう生きものなのだ。
人間は見たいものしか見ない。
「部屋の中の象」現象だ。
部屋のなかに象がいると大騒ぎするより、見て見ぬふりをすることがある。
この映画は心理学の実験がたくさん出てきて、ちょっとしんどいが、
この時代にみておく必要があるように思う。
ぼくたちが盲従しないためにも。
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