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2017年1月 4日 (水)

聴診器でテロと闘う(65)

シリアのカミシルから出てきた女性とは、9カ月ぶりに再会した。
その女性には、心室中隔欠損の子どもがいる。
子どもの心臓の音と成長の度合いを確認すると、以前に比べ、ずいぶんしっかりしてきた。
難民キャンプなどで乳幼児の健康をみていると、ジレンマを感じることがある。
ユニセフが「赤ちゃんにやさしいケア」を訴えているため、
人工栄養のミルクを配ることが難しい。
諏訪中央病院も、日本ではまだ少ない「赤ちゃんにやさしい病院」であるから、
母乳の大切さはわかっている。
が、原理主義に陥ってはいけない。
母乳だけでは足りない子どもがいる。
その子には、母乳とミルクの両方が必要になる。
いまも10人ほどの、問題を抱えている子どもにはミルクを配っている。

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この子にも少し前までミルクを配っていた。
心臓の音もあいかわらず、心室中隔欠損の音が聞こえているが、
循環器の専門病院にも連れていき、いまのところ手術は必要なし、経過観察ということになっている。
成長も少しずつ追いついてきているようで、安心した。
母親にも笑顔が出てきているようだ。
難民生活は長期化している。
どうしたら精神的な安定を得られるか。
難民キャンプで、ストレス解消の場をどうつくるか、課題になっている。

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