鎌田劇場へようこそ!(329)
「わたしは、ダニエル・ブレイク」
2015年のカンヌ映画祭最高賞受賞。
監督はケン・ローチ。
「ジミー、野を駆ける伝説」を最後に引退を宣言していたが、格差や貧困を描くこのスト―リーにみせられ、
名匠が再びメガホンをとった。
すばらしい映画だ。
さすがケン・ローチ。
イギリスのロボットのような官僚機構。
普通に税金を払って暮らしていた大工のダニエルが、すべてを売り払い、
あと一歩で路上生活になるまで追い詰められる。
偶然、シングルマザーと出会う。
2人の友情がいい。
だが、徐々に破滅に向かう。
子どもに新しい靴を買うために、彼女は身を売ることになるのだ。
もう若くないダニエルは病を抱えながら、職業安定所に通わなければならない。
仕事ができるないのはわかっているが、給付金をもらうために通うのである。
日本の失業手当と似ている。
もっとあたたかなシステムがあれば、転落しなくてもすむはずなのに、
社会のシステムが、丁寧に、真面目に、明るく、誠実に生きている人間の足をひっぱってしまう。
「わたしは、ダニエル・ブレイク」
感動の映画だ。
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