聴診器でテロと闘う(70)
アルビル市内の古い一軒家を借り、JIM-NETサポートハウスができた。
遠方の危険な地域から脱出してきて、泊まるところや生活に困っている人たちの相談所である。
白血病の子どもの父親が、歳の離れた妹とともに訪ねてきた。
モスルから来た人だ。
若い父親の腕のなかには、急性リンパ性白血病の2歳半のメイサム君がいる。
2か月半前、ぼくがアルビルに来たとき、この親子に会っていた。
モスルから逃げて来た人たちが、アルビルの貧しい農家の小さな部屋に15人で暮らしていた。
そのなかに、2人の白血病の子どもがいた。
いまここにいるメイサム君。
そして、タハ君5歳だ。
15人での生活が大変になり、ハーゼルキャンプに移るところで、タハ君の容態が悪化した。
キャンプに入る手続きが手こずるなか、すぐにナナカリ病院に移れなかった。
モスルでは、もう白血病の治療がまともにできないからと、親戚から頼まれたのに、
ナナカリ病院に連れていこうという経過のなかで、タハ君は急変が起きて亡くなったという。
「戦争がなかったら・・・」
若い父親は、肩を落とす。
サポートハウスでは、ヤジディ教徒のアーデル君がソーシャルワーカーのような働きをはじめた。
日本から入った斉藤さんは料理が得意。
ヒヨコ豆のスープと、パンをチーズで煮たクルドの料理を食べながら、若い父親を慰めた。
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