聴診器でテロと闘う(73)
JIM-NETカンファランスが始まった。
それぞれの病院の最近の治療成績についての報告があった。
小児白血病の寛解導入率は90~95%と、先進国並みのレベルに到達しだしている。
しかし、5年生存率になると65%くらい。
病院によっては50%と低迷する。
これは、子どもたちが途中で治療を続けられなくなるためだ。
病院まで遠くて通えないという物理的な問題や、経済的理由などが背景にある。
アルビルのナナカリ病院では、イラクのNGOから2人のソーシャルワーカーが派遣されるようになった。
ぼくたちJIM-NETは、バスラの小児病院でイブラヒム先生に活動してもらっている。
病院に来なくなった子どもを迎えに行ったり、交通費をだしたり、生活支援をしたり、
遅れている勉強を病院で教えたり・・・。
ソーシャルワーカーの仕事もふくむ多様な取り組みをしてきた。
こうした活動の大切さが認識されだしたのではないか。
ナナカリ病院は、モスルに近いため、モスルからの患者であふれかえっている。
どこも抗がん剤が足りない。
病院にない抗がん剤は、処方箋を書いて、家族が薬局に買い求めなければならない。
貧困のなかで生活している人には、そんなお金はない。
村で生活しているぶんには何とか食べていけるが、お金を持つような生活をしていないので、子どもの薬を買うのがとても難しいのだ。
これからも、そんな理由で治療を中断せざるを得ない例が増えていくだろう。
バクダッドの病院のドクターからは、看護師の教育をシステマティックに行いだしたという報告があった。
全般的には、自分たちが土俵際で子どもたちの命を守るんだという思いが感じられた。
夜はみんなでホテルで会食。お酒なしで、盛り上がった。
15年の活動で、ひとつのチームになってきている。
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