« 日刊スポーツ連載スタート | トップページ | 鎌田劇場へようこそ!(335) »

2017年4月 5日 (水)

鎌田劇場へようこそ!(334)

「ムーンライト」
本年度アカデミー賞作品賞・脚色賞・助演男優賞(マハーシャラ・アリ)の3部門受賞。

254165

「ラ・ラ・ランド」を観て、あまりにもうまくできていたので、 きっとアカデミー賞はこの「ラ・ラ・ランド」で決定だろうと思っていた。

ところが、アカデミー賞の受賞式でとんでもないことが起きた。
作品賞の受賞が「ラ・ラ・ランド」と誤って発表されたのだ。

「ラ・ラ・ランド」のチームがステージ上に上がり、 受賞の喜びを語っている最中に、 実は「ムーンライト」の間違いだったとわかる。
どっきり番組のようなことが起こってしまった。

この「ムーンライト」がいいのだ。

「自分の道は自分で決めろ。他の奴に決めさせるな」

学校ではリトルと馬鹿にされている主人公シャロンに、麻薬ディーラーのフアンが言った言葉だ。

自分がなにものかを探し、そして自分を愛する事ができたとき、 初めて誰かを愛する事が出来る。
自分探しの映画だ。

高校生になった主人公シャロンは、 ある夜、月明かりが輝く浜辺で、親友のケヴィンと出会う。 その時のセリフがたまらない。

「風が吹いてくる。  
気持ちがいいから立ち止まる。
聞こえてくるのは心臓の音だけだ」

「泣きすぎて、自分が水滴になりそうだ」

弱い自分を必死に見つめようとしている主人公がいじらしい。

シャロンは弱い自分から脱却する。
再びケヴィンから連絡が来る。 シャロンはたくましい男になっていた。

「強くなったか」
「オレは、オレだ」

ケヴィンが告白する。
「やりたいことは何もせず、流されていた」

答えがあるわけではない。
若者たちが必死に生きようとしている姿が見えてくる。

キャストは全て黒人。
映画は、新しい武器を持った。
こんなスタイルがあるのだと気が付かされる、革命的な映画だ。

|

« 日刊スポーツ連載スタート | トップページ | 鎌田劇場へようこそ!(335) »

映画・テレビ」カテゴリの記事