鎌田劇場へようこそ!(334)
「ラ・ラ・ランド」を観て、あまりにもうまくできていたので、 きっとアカデミー賞はこの「ラ・ラ・ランド」で決定だろうと思っていた。
ところが、アカデミー賞の受賞式でとんでもないことが起きた。
作品賞の受賞が「ラ・ラ・ランド」と誤って発表されたのだ。
「ラ・ラ・ランド」のチームがステージ上に上がり、
受賞の喜びを語っている最中に、
実は「ムーンライト」の間違いだったとわかる。
どっきり番組のようなことが起こってしまった。
この「ムーンライト」がいいのだ。
「自分の道は自分で決めろ。他の奴に決めさせるな」
学校ではリトルと馬鹿にされている主人公シャロンに、麻薬ディーラーのフアンが言った言葉だ。
自分がなにものかを探し、そして自分を愛する事ができたとき、
初めて誰かを愛する事が出来る。
自分探しの映画だ。
高校生になった主人公シャロンは、 ある夜、月明かりが輝く浜辺で、親友のケヴィンと出会う。 その時のセリフがたまらない。
「風が吹いてくる。
気持ちがいいから立ち止まる。
聞こえてくるのは心臓の音だけだ」
「泣きすぎて、自分が水滴になりそうだ」
弱い自分を必死に見つめようとしている主人公がいじらしい。
シャロンは弱い自分から脱却する。
再びケヴィンから連絡が来る。
シャロンはたくましい男になっていた。
「強くなったか」
「オレは、オレだ」
ケヴィンが告白する。
「やりたいことは何もせず、流されていた」
答えがあるわけではない。
若者たちが必死に生きようとしている姿が見えてくる。
キャストは全て黒人。
映画は、新しい武器を持った。
こんなスタイルがあるのだと気が付かされる、革命的な映画だ。
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