鎌田劇場へようこそ!(336)
「息の跡」
とてもいい映画だ。
陸前高田の種屋さんの物語。
出てくるのは、ほとんど種屋の主、佐藤貞一さんだけ。
まるで哲学者。
一人でしゃべりまくるのだが、実はもう一人、見えない大事な主演がいる。
監督、小森はるかだ。
主演の佐藤貞一を助演している
ドキュメンタリーに助演女優賞なんてないが、助演女優賞をあげたくなるくらい、
小森はるかが佐藤貞一の一人芝居を見事に受けている。
佐藤は、悠々と1611年の津波の歴史を語り、英語で語りだしたり、好き放題。
津波に負けてないのがいい。
実に生活力がある。
壁をやぶる力もある。
いま「人間の値打ち」という本を書いているが、人間の値打ちの一つの目安は、
品位があるか、役割を担っているか、空気に負けない強い意思があるか。
そう、陸前高田はたくさんの人が亡くなった。
すべてが津波に流された。
絶望的な空気のなかで、彼は空気に負けていなかった。
ファンキーで、ユニーク、自由だ。
楽しむ力がいっぱいある。
生活力がある。
遊び心にあふれている。
決断力や持続力が十分あり、孤独をこわがっていないのがいい。
彼の心の内部に鬼が棲んでいる。
ここがいいのだ。
ヤワではない。
稼ぐ力もある。
どれも現代を生きるうえで大切なものだ。
ステキな映画をみた。
たくさんの人に見てもらいたいと思う。
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