鎌田劇場へようこそ!(340)
「怪物はささやく」
これぞ映画!ファンタジーだ。
でもリアルな世界と遊離しないファンタジーになっていることころがすごい。ダークファンタジーだ。
児童文学の最高傑作。いくつもの賞をとったイギリスの作家パトリック・ネスの作品を映像化した。癒しの映画だ。
シングルマザーの、たった一人のお母さんが、難病で死んでいく。13歳の少年コナーは、は納得できない。
そんなコナーの前に木のモンスターが現れ、
「これから3つの真実の物語を語るから、4つ目は、あなたの真実の物語を語らなければいけない」
と告げる。
モンスターの語る3つの物語には、色々な仕掛がされている。
自分の愛する人を自らの手で殺しておきながら、王になり、良い国を作った男の話。
同級生にいじめられ続けた主人公が、「透明人間」と言われてから、自分が存在していることを明確にするために、初めて命がけで戦いに挑む話…。
何がよくて何が悪いかは、実はそう簡単ではないのだということがわかってくる。
時には破壊することの大切さも語られていく。 優しくて愛にあふれていればいいだけではない。それが人生なのだということを、わからせてくれる。
おばあちゃんと、なかなかうまくいかなかった。お互いが、相性が悪いと思っている。しかし、怪物のお蔭で理解しあえるようになる。
少年が大切な人を手放し、親から自立していく物語でもある。愛の物語でもある。
人を大切にするということはどういうことなのか、を考えさせてくれる映画でもある。
時には壁をぶち壊すことの大切さをこの映画が教えてくれる。
今年一番の僕好みの映画だ。
「ラ・ラ・ランド」も、アカデミー賞をとった「ムーンライト」もすごいが、ぼくにはこの「怪物はささやく」が、何倍もいい。怪物が、大きくて、かっこよくて、かわいいのだ。
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