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2017年4月12日 (水)

新・空気の研究3

フェイクニュースが世界を闊歩している。
アメリカ大統領戦では「ローマ法王がトランプ氏を支持」という偽のニュースが流された。
「クリントン氏の流出メール問題担当のFBI捜査官が無理心中」
こういったフェイクニュースがフェイスブックなどで拡散されていく。
第二次大戦中、イギリスのチャーチルは「真実がズボンをはく前に、嘘が世界を半周してしまう」といったが、
現在はさらに速く、あっという間に嘘のニュースが広がってしまうのだ。
ハーバード大学の研究では、トランプ政権の首席戦略官バノン氏がトップを務めていたブライトバート・ニュース・ネッワークが圧倒的な影響力をもっていたという。
無名なブライトバートの記事は、共和党系の人々の間で、大手メディアをしのぐ勢いで拡散されていった。
ニューヨークタイムズ、ワシントンポスト、CNNなどは、ブライトバートにパワー負けしていたという。
自分の好みのニュースを聞く傾向がある、というのを上手に利用しているのだ。

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事実かどうかより、ある種の人たちにとっての聞きたいニュースを流すことで、スピードをもって拡散していく。
そして、はじめはある種の人々だけに拡散していたものが、広がってくいくうちに、思想的に真ん中あたりにいる人たちにも伝染していくのだ。
そのうちに何が事実かわからなくなり、嘘が事実化していく。
空気は、こうやってつくられていくのだろう。
山本七平はユダヤ教の研究者でもあった。
多神教の日本人と、一神教のユダヤ人とを比較しながら、多神教の日本人のほうがあいまいな空気をつくりだしていく可能性が強いと述べた。
でも、実際は一神教でも、空気がつくられいくことがわかる。
このへんは山本の考えを、時代が超えていったように思う。

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