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2017年5月20日 (土)

新・空気の研究21

「ヒトラーへの285枚の葉書」(ヴァンサン・ペレーズ監督、2016年)をご存じだろうか。
小説「ベルリンに一人死す」(ハンス・ファラダ著)を映画化したものだ。
1940年のベルリン、ナチスがフランスを占領し、町中が「ハイルヒトラー」の空気に覆われていく。
工場の主任をしている主人公の男は、ヒトラーを信じていた。
しかし、息子が戦死したという知らせが入り、ヒトラーやゲシュタポに疑問をもつ。

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夫婦で小さな抵抗を始める。
「戦争をやめよう」とか「ヒトラーを殺せ」などとメッセージを書いたポストカード280数枚を路上に置く。
それは、警察によってすぐに回収されるが、回収されないものも何枚かあった。
だれかが、「そうだ、そうだ」とシンパサイズしたのだろう。
夫婦の命がけのレジスタンスは微力である。
微力であるが、全体主義という一つの方向に流れていくとき、一人でも反対の声を挙げる人がいることが大事なのだと思う。
そんなことを思わせてくれるいい映画だ。
今、こんな時代だからこそ、見てもらいたい。
必死に、よどんだ空気をかきまわそうとする、夫婦の行動に感動した。

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