新・空気の研究25
空気はかきまわしていると、元気になる。
映画や音楽、芝居、旅は空気をかきまわすきっかけをつくってくれる。
河瀨直美監督の『光』がカンヌ国際映画祭コンペティション部門に選出されている。
河瀨監督は、1997年に『萌の朱雀』でカメラ・ドール(新人監督賞)受賞、2007年には『殯(もがり)の森』でコンペティション部門グランプリを受賞した。
今回の『光』は、最高賞のパルムドールを受賞するのではないかと期待されている。
西洋の合理主義が壁にぶつかっている。
オープンマインドでより自由を獲得してきた民主主義が行き詰まり、グローバリゼーションだけで打開できないことがわかった。
西洋文明そのものが壁にぶつかりだした。
そんななかで、西洋ではないものをカンヌは求め始めるのではないかと予測しての受賞の期待だったが、たった今、「受賞ならず」の一報が入った。
残念だ。
『光』は、光を失っていくカメラマンの話。
生きるとは何か、風景とは何か、いろんなことを考えさせてくれる。
映画のなかに映画があり、どちらも「光」を扱っている。
現代において「光」とは何か、「希望」とは何か、「生きる」とは何か。
河瀨監督に限らず、日本の映画監督がカンヌ映画祭で最高賞をとるようなことがあれば、日本の映画界は元気になる。
日本全体も元気になるかもしれない。
萎縮しないこと。
空気をかき回し続けていくことが、今の日本には必要なのだと思う。
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