新・空気の研究26
「セールスマン」という映画がすごい。
69回カンヌ国際映画祭で、脚本賞と男優賞で有名になったが、なんといっても
今年度のアカデミー賞外国語賞を受賞したことで話題になった。
トランプ大統領が、イランを含む中東7か国の入国を一次制限するという大統領令に署名したことに対して、
主演女優のタラネ・アリシュスティとアスガー・ファルハディ監督がアカデミー賞授賞式への参加を拒否した。
ファルハティ監督はこんなメッセージを出した。
「世界を『私たち』と『敵』というカテゴリーに分けることは、恐怖や誤魔化しを生み出します。
映画はカメラを通して国籍や宗教の固定概念を打ち壊すことができます。
これまで以上に共感が必要とされている今、映画は共感を生み出すことができるのです」
世界に分断と「自分ファースト」が広がっているとき、
映画はその空気を入れ替えることができる。
この「セールスマン」という映画には、アメリカの劇作家アーサー・ミラーの「セールスマンの死」を、
イランの小さな町のホールで、イラン人たちが演じるシーンが何度も出てくる。
イランのなかにあるタブーを壊そうとしている。
芝居や映画を通せば、イランとアメリカがつながることもできるということを暗示している。
ちなみに、主演女優は、鎌田が勝手に「世界でいちばん美しい女優」と思っている。
ぜひ、多くの人に見てもらいたい。
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