新・空気の研究32
「ありがとう、トニ・エルドマン」は、父と娘の物語。
父は、ブーブー座布団で人を笑わせたり、まじめな場面で、出っ歯のマウスピースをつけてみんなに奇妙がられたり、
とんでもないおふざけだが、グローバル経済のなかで必死に働いている人たちのうそっぱちの人生を笑いでぶち壊していく。
キャリアウーマンの娘は、そんな父のすごさに徐々に気づき、
自分のパーティを裸のパーティにする。
裸になったこととで、硬いハシナしかしなかった人たちが、空気がやさしくなる。
娘のパーティに、父親がナマハゲみたいなものをかぶって登場する。
笑いと涙。
冗談というものがどんなに大事か教えてくる。
「パトリオット・デイ」は、2013年に発生したポストマラソン爆弾テロ事件を題材にしている。
50万の観衆がにぎわうなかで、おこったローンウルフ型のテロだ。
今、議論されているテロ等準備罪は、このローンウルフ型テロには太刀打ちできない。
テロを抑止するためには、違う方法を国会で議論されるべきである。
そして、一般の国民の人権や自由を冒さないことをきちんと議論すべきだと思う。
9月にロードショーされる「あさがくるまえに」は美しい映画。
朝のはじまりや夜の闇が、青と黒で映し出されている。
臓器移植をテーマにした映画である。
日本では、臓器移植が拡がらない空気がある。
17歳の脳死状態になった若者の心臓を取り出す。
そのとき、恋人が好きだった歌を耳元で流す。
命はどうあればいいのか。
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