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2017年7月29日 (土)

新・空気の研究63

日野原重明先生に、「何年先の講演を受けているのですか」と聞くと、
「手帳が3年先までしか書けないので、3年先までしか受けていない」
「でも、本当はもっと先まで受けてもいいと思っているんだけどね」と笑った。
すぐにぼくは通販生活で買った10年日記を贈った。
その後、テレビで、日野原先生が女優の森光子さんの誕生日に、
「10年先まで芝居の予定を入れなさい。そうすれば生きていくことができから」と、10年日記をプレゼントしたと話していた。
笑ってしまった。
「高齢になったらもう先がない」なんていう空気にだまされないことだ。
何歳になっても、自分は自分。
ぼくが10年日記をプレゼントしたのは2005年だった。
たぶん、あの日記は全部使い切ったのだと思う。
昨年4月に、佐賀で一緒に講演した。
日野原先生が30分、鎌田が1時間半。
2000人のホールが満員になった。
日野原先生は30分立って、講演した。
その後、「鎌田先生の話は久しぶりだから、聞いていくよ」と言い、
会場からは見えないところにベッドを置いて、そこで「悪いけど、横になって聞かせてもらう」と言った。
日野原先生をネタにたっぷり面白い話をした。
長生きをするコツ、生きがいをもって生きることなど、ところどころで笑わせながら。
講演が終わって、日野原先生のところにあいさつに行くと、
日野原先生はグーグーといびきをかいて寝ていた。
鎌田の話を聞こうという気持ちはあったが、飛行機移動などで疲れていたのかな。
思わずほほえんでしまった。
ユーモアのある人だった。
時代の空気をかきまわす先達がまた一人亡くなった。
寂しい。

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