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2017年8月 7日 (月)

新・空気の研究72

台湾はあつかった。
気候が暑いだけでなく、熱気にあふれている。
今月初め、国際シンポジウムのメインスピーカーとして参加するため、台湾を訪ねた。
長寿と介護をテーマに講演。
会場は熱気に包まれた。

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台湾では、高齢者介護で、二時間おきにおむつ交換するのが大切と思い込んでいる。
介護される高齢者からみたらどうだろう、とぼくはみんなに話した。
やっと寝付けたところで、おむつ交換のために二時間おきに起こされるのだ。
日本でも「ぬれたおむつを放置するのは、老人虐待だ」といわれた時期があった。
でも、イノベーションでおむつの品質が向上することで解決した。
ぼくはアテントの商品開発にかかわってきたが、
肌に触れる部分がさらさらしており、肌に負担が少なければ、朝目覚めるまでおむつを変えなくても、尿だけなら十分がんばれる。
そういう評価がされ、施設での使用率はとても高い。
おむつ交換の回数が減った分、介護者は話し相手になったり、散歩や買い物に連れ出すなどのエネルギーに費やせば、もっといい関係ができる。
「二時間おきにおむつ交換」というのは、忖度の過剰。
当事者のことを思いやっているようで、実は当事者の視点を置き去りにしている。

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会場は満員で入りきれなくなり、50人ほど入場をお断りした。
そのなかに、16年ほど前のぼくの本を買って、読み込んでいる台湾のドクターがいた。
彼のバイブルだという。
彼は、数年前から台湾の東部の最も貧しい地域で、在宅医療や緩和医療を行っているという。
そして、台湾で在宅医療をすすめる研究会をつくった。
ぼくの話を聞いて、ますますやる気になったという。

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