新・空気の研究75
岩波ホールで10/28から公開される「はじまりの街」。
実にいい映画だ。
過ちを嘆いたり、幸運を忘れたり。
それでも人生よりすばらしいものはないと思わせてくれる。
頼まれて、プログラムに文章を寄せた。
「人生は「はじまり」であふれている。
生きていると絶望に出合うこともある。
そんなときは次の「はじまり」があることをつい忘れてしまう。
とかえしのつかないような過ちでも、死にたいほどの絶望でも、
壊すことができない分厚い壁でも、
飛び越えることができない見えないほど高い壁でも、
それでも「はじまり」はあることを思わせてくれる映画だ」
父親が母親にDVを振るうのを見る少年。
傷つきながら、北イタリアのトリノにやってくる。
◇
DVも忖度の一種だ。
自分のだめさ加減を横に置いて、相手の欠点を治してあげるんだと思って
怒鳴ったり殴ったりする。
大きなお世話だ。
結局、自分が大事なのだ。
忖度バカの日本の官僚も、結局は自分がかわいいのだ。
過剰な忖度は暴力と一緒。
これを乗り越えるには、友情や親子の愛、男女の愛、誠実さ、相手の身になること、
それが大事だと思わせてくれる映画だ。
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