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2017年9月15日 (金)

新・空気の研究84

脳は意外にだまされやすい。
だまし絵なんか典型的な例だ。
何かに集中していると、目の前を通った人が見えないこともある。
英語に「エレファント・イン・ザ・ルーム」という言い回しがある。
あるはずのないと思い込んでいると、目の前にあっても見えないということだ。
2005年にアメリカのクリフトン・メドワー博士が興味深い論文を発表した。
末期の肝臓がんと診断され、余命数カ月と診断された患者がいた。
みるみる衰弱して、告知された余命もまっとうできず亡くなった。
死後、解剖してみると、なんと患者はがんではなかった。
誤診だったのだ。
つまり、人間は、思い込みで死ぬということだ。
忖度も、基本的には底流に思い込みがある。
こうすれば自分は出世するだろう。
この人についていったほうがいい。
多くの場合は想像と思い込みである。
イメージトレーニングしていると、脳は思い込みやすくなる。
野球の選手などが、試合前にぶつぶつ自分に言い聞かせている人がいる。
自分が勝つと思い込んでいると、不思議に体が動き出す。
偽薬もそうだ。
うどん粉でも、「いい薬だ」と言われるとよくなったような気がする。
病は気からというが、人生も、スポーツも、ビジネスも、気と関係している。

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自分は「幸せ」と思っている人とそう思っていない人の16年後の人生を調べると、
「幸せ」と思っている人は、思っていない人に比べて、
280万円くらいの収入が高いということがわかった。
ハーバード大学の調査だ。
思い込むということが人間の人間たるところである。
だからこそ、過度な忖度も生じていく。
「思い込み」の力を上手に使うのはいいが、過度な忖度で自分を縛ってしまうと、人生はつまらなってしまう。

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