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2017年10月 8日 (日)

新・空気の研究95

「ユダヤ人を救った動物園」という12月にロードショーされる映画のコメントを求められ、試写を見た。
第二次世界大戦の最中、ナチスがポーランドのワルシャワに侵攻する。
ソ連とドイツの駆け引きのなか自らの存立が危ぶまれるワルシャワ。
ワルシャワ蜂起などの抵抗も起こる。
そんななか、動物園を経営する夫婦が、キリスト教徒でありながら、ゲットーから絶滅収容所に移送されるユダヤ人たちを助けようと努力する。
妻のアントニーナがすごい。
動物と話し合い、お産にも立ち会って、象を助ける。
水一杯でも、ユダヤ人にあげるのは危険だという夫の言葉がある。
そういう時代の空気に支配されず、
妻は、必死にユダヤ人たちを助ける。
映画では、かくまっているユダヤ人たちがアントニーナの服を貸してもらって着ている。
彼女は動物園で、300人のユダヤ人を助けた。

Photo

ワルシャワはナチスが支配して、その後、ソ連が支配しようとする。
そのなかで、女性は余計なことをしなくていい、家で家事をやっていればいいとされるが、
彼女は、権力や偏見に支配されなかった。
ユダヤ人やローマ人、障害者は生きる権利がないというナチスの身勝手な思想に対して、
支配されない生き方を見せつけてくれる映画だ。
権力に支配されていないか、
時代の空気に支配されていないか、
偏見や思い込みに支配されていないか。
この映画をみながら、自分に問い続けた。

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