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2017年12月

2017年12月14日 (木)

鎌田劇場へようこそ!(365)

「ジュピターズ・ムーン」
ハンガリーの映画。
人間臭いファンタジー映画だ。
カンヌ国際映画祭で審査員を務めた俳優ウィル・スミスがこの作品を推したが、
ほかの審査員を説得できなかった。
「ときに民主主義って最低だね」と発言している。
すぐれたものが必ず支持されるわけではない。
そのときのムードや流れで決まっていくことも多い。
ウィル・スミスがなぜ、それほどまでに推したのか、よくわかる。

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シリアの難民がヨーロッパを目指すが、その途中にハンガリーがある。
そこでの出来事だ。
少年は逃げ遅れ、国境の警備隊員に銃撃される。
そこから少年は、宙を飛ぶ不思議な力をもつ。
少年の名はアリアン。
Alien、エイリアンのことだ。
CGをほとんど使わず、少年をクレーンで釣り上げての撮影。
映画に出て来る人物がみんな何か問題をもっていたり、邪悪な心をもっている。
裏切りと絶望のなかで、少年と治療した医師との間に友情と信頼が芽生えていく。
この人のために、と動き出すところが実におもしろい。
来年1/27からロードショー。

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2017年12月13日 (水)

鎌田實の一日一冊(318)

「森の探偵-無人カメラがとらえた日本の自然」(宮崎学、小原真史著、亜紀書房)
信州で長く活躍する動物写真家の宮崎学は、土門拳賞をはじめいろいろな賞を総ナメにしている。
フクロウが野ネズミを捕まえて飛び立つ姿などは自然の美しさを見事にとらえている。
宮崎さんは森のなかに入りこんで、クマやイノシシ、キツネなどの写真を撮りながら、
どんな命のやりとりがあるのかを探っていく。

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彼の考案した無人カメラはどんどん進歩し、動物たちが自然なふるまいを見せてくれる。
彼は、その姿から自然の発するメッセージを読み解いていく「森の探偵」である。
一枚一枚の写真の意味を読み解いていく不思議な写真集である。

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2017年12月12日 (火)

鎌田劇場へようこそ!(364)

「5パーセントの奇跡 ~嘘から始まる素敵な人生」
実話である。
ベーチェット病で視力が5%になってしまった弱視の若者には、
5つ星ホテルで働くという夢がった。
目が見えないことを隠して、働き始めるが、
グラスを洗っても、水滴の拭き残しがある。
上司にそれをしかられ、夜中じゅうグラスを洗い直しする。
お客の姿は見えないまで、声で聞き分ける。
ハムのスライサーでケガをしてしまう。
そんな苦労を重ねるうち、少しずつ応援が入る。
夢を諦めなければ、何とかなるものだ。

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彼は、自分を失っていない。
親友をつくり、持前のやさしさが恋を成就させる。
大きな夢が実現していくのだ。
嘘から始まる素敵な人生。
とにかく楽しくなる、人生の闘い方の映画だ。
まるで「ロッキー」をみているような気がした。

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2017年12月11日 (月)

世を問う歌

小室等さんの「プロテストソング2」が発売された。
谷川俊太郎の「死んだ男の残したものは」はすばらしい詩だが、
それに日本を代表する作曲家武満徹が曲をつけた。
サックス奏者の坂田明さんのCD「ひまわり」にも、この曲が入っている。

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「希望について私は書きしるす」
「詩人の死」など、いい曲が入っている。
今の世界はこのままでいいのか、と小室等が歌で語りかけている。

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2017年12月10日 (日)

鎌田劇場へようこそ!(363)

「パーティで女の子に話しかけるには」
ジョン・キャメロン・ミッチェル監督。
主演はエル・ファニング。
パンク音楽が鳴り響くなか、刺激的で切ない物語が展開していく。
1977年のイギリス、違う惑星から若者たちがやってきた。
そのなかにザンという女の子がいた。
青年は恋に落ちるが、どうやって声をかけていいかわからない。
許された時間は48時間。

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騒々しく破壊的なパンクだが、時折、昔懐かしい音楽も流れ、
人間的なにおいがする。
ラストは感動的だ。

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2017年12月 9日 (土)

お知らせ

明日12/10放送の「日曜はがんばらない」」(文化放送、午前10時~)は、
今年のキーワードになり、流行語大賞をとった「忖度」という言葉を取り上げます。
鎌田は、いきすぎた「忖度」がまん延する社会を危惧し、『忖度バカ』(小学館新書)を書きました。

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見返りを期待し、相手をコントロールしようとする忖度は、
政治を麻痺させ、経済を萎縮させます。
そして、ぼくたち一人ひとりの自由も奪いかねません。
番組では、パートナーの村上信夫さんと「忖度」について、あれこれ語り合います。
サイン本のプレゼントもあります。
ぜひ、お聞きください。

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2017年12月 8日 (金)

柏崎からお礼の新米

中越沖地震のとき、諏訪中央病院の医師や看護師が支援に行った。
そのお礼にと、毎年、新潟の柏崎から「病院の患者さんたちに食べてほしい」とお米が送られてくる。
無農薬でつくられたコシヒカリはとてもあまくておいしい。

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トレーに、そのいきさつを書いたものを添えて、患者さんにお出しした。
病院中、幸せな気分。

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2017年12月 7日 (木)

チョコに込めた思い

ぼくは日本テレビ系の番組「ニュース・エブリィ」で毎週木曜、コメンテーターとして出演している。
この番組では、ぼくがイラクの難民キャンプに行くときには同行取材して、
イラクで何が起きているか、ISがどんなことをしたのか、報告してきた。
11/30の「ナゼナニっ」というコーナーで、今年のチョコ募金キックオフイベントが紹介された。
イベントでは、チョコ募金を軌道に乗せ、目のがんで15歳で亡くなったサブリーンのことも映像としてまとめ、来場者にみてもらった。
サブリーンは亡くなる前、「私は死ぬけど、私のかいた絵がチョコ募金になり、イラクのほかの病気の子どもを助けることができる。私は幸せです」と言った。
15歳の少女にとって、ほかの病気の子どもたちを救うことができることが、希望だったのだ。
そのとき、同じように闘病していたもう一人のサブリーンがいた。
通称スースだ。
彼女は、卵巣がん再発を乗り越えて完治した。
そのスースがかいた絵は、今年のチョコ募金の缶にプリントされている。
病気を克服したスースの絵は活力に満ちている。
チョコ募金には、2人のサブリーンの思いが込められている。

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病気で亡くなったサブリーンは最期、「私のことを忘れないでください」と言ったが、
その言葉を会ったこともない神野美伽さんがしっかりと引き受けた。
イベントでは、サブリーンの絵をデザインした着物と帯を披露。
神野さんの事務所では、このサブリーンの絵をTシャツにしてみんなで着ている。
このTシャツは、ご厚意で、JIM-NETから購入することができる。
ぼくが着ているのが、それだ。
ニュース・エブリィのアーカイブ映像はこちら↓
 
チョコ募金やサブリーンのTシャツについてはこちら↓
せひ、チョコ募金にご協力ください!

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2017年12月 6日 (水)

おいしさで自立をめざす「虹の園」

白石蔵王から車で30分どのところに、「虹の園」がある。
障害者の就労を支援する多機能型の施設で、社会福祉法人臥牛三敬が経営している。
ぼくは、ここの応援団をしている。
障害者の給与を3万6000円まで上げたいという湯村理事長の思いに共感した。
現在の給与は月2万8000円。
約160人が働いている。
障害年金2級で約7万5000円の支給があるが、あと3万6000円あれば、
親が亡くなった後も障害者がアパートを借りて自立できる。
生活保護を受けなくても、年金と働いたお金で、障害者がいきいきと暮らせる社会は健全だと思う。

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「虹の園」開所10周年の記念講演会に呼ばれた。
グループ内にはピザハウスのぱぴハウスや、がぎゅうベーカリー、夢工房などがある。
障害者がピザを焼いたり、注文を取ったりしている。
材料も非常にぜいたくで、その日に七里ガ浜であがった魚や貝を使っている。
味は絶品である。
パンも本格的。パン焼きの名人が応援団となり、障害者にパンの焼き方を教えている。
パンは、仙台などのバザーに出すとあっという間になくなってしまうほど人気だ。
ジャムもおいしい。
餃子もおいしい。
以前、ぼくがエゴマ油はオメガ3系の油で健康にいいと言ったら、
虹の園でエゴマを栽培するようになった。
宮城県でエゴマをたくさん作っている色麻町(しかまちょう)の農耕者にお願いして、
エゴマ油をつくったり、郡山女子大学の食物栄養学の先生に協力してもらって、
ピザやぱんの生地に練り込むことを考えているという。
おいしさで、自立を目指す「虹の園」にぜひ、注目してください。

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2017年12月 5日 (火)

鎌田實の一日一冊(317)

「その介護離職、おまちなさい」(樋口恵子著、潮新書)
100年ライフ・大介護時代を豊かに生きるための知恵とヒントをまとめた本。
仕事をしながらの介護や趣味を続けながらの介護、そんな介護を「ながら介護」という。
樋口さんはこんなふうに書いている。
「ながら介護は先に鎌田先生が提唱なさった「がんばらない介護」に通底しています。
私は「がんばらない介護」の賛同者で、毎年の集会には協賛には加わらせていただいております。
「がんばらない介護」と鎌田先生に言っていただいたおかげで、
どれだけ介護に当たる家族、特に女性たちの心がほぐれ、胸があたたかくなったことか」
光栄なことだ。

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厚労省が11月11日を「介護の日」に決めたが、樋口さんはその委員の一人だった。
日本の介護をひっぱってきた人だ。
介護保険をつくるとき、彼女のカリスマが大きな力となった。
介護離職は毎年10万人出ている。
家族に介護が必要になったからといって、すぐに介護離職しないほうがいい。
この本には、そのためのヒントが満載されている。

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2017年12月 4日 (月)

鎌田劇場へようこそ!(362)

「否定と肯定」
ユダヤ人歴史学者とホロコースト否定論者の対決。
否定論者は、「ホロコーストなんてなんかったんだ」
「ホロコーストを利用して、同情をかい、パレスチナの地にイスラエルは建国された」と言い張る。
そして、その主張を思い込んでしまう人がいる。
ぼくは、ビルケナウ収容所も、アウシュビッツ収容所も見て来た。
膨大な資料が虚構ではないことを物語っている。
ガス室に送り込まれた人たちの靴が、山のように積まれている。
ホロコースト否定論者は、「この靴はだれの靴かわからない」とたぶん主張するのだろう。
パレスチナの西岸にも、ガザにも行った。
イスラエルにも行った。
イスラエルが、パレスチナにいまも侵略的なことをしているのをみてきた。
ユダヤ人の悲劇を伝える映画や本が次々とつくられるのは、ビジネスに成功したユダヤ人たちが投資しているという影の理由もあるだろう。
しかし、だからといって、歴史の事実を虚構とするのはよくない。
この映画では、真実を否定する人をどうやって論破していくか、
真実とは何か、ということを描いている。

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ホロコースト否定論者は裁判で負けるが、それでも、自分の学説が間違いであるとは認めない。
ネオナチの若者を扇動し続ける。
わざと社会をギスギスさせるのである。
フェイクニュースやヘイトがあふれているいまこそ、
「否定と肯定」を、たくさんの人にみてもらいたい。
今、何が大事なのかがわかってくる。

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2017年12月 3日 (日)

鎌田劇場へようこそ!(361)

「DESTINY 鎌倉ものがたり」
「ALWAYS 三丁目の夕日」の山崎貴が監督。
堺雅人とNHKの朝ドラでブレイクした高畑充希が夫婦役を演じ、いい味を出している。
魔物がすむ想像の鎌倉を舞台にした、日本流の壮大なファンタジー。
貧乏神や死神、カッパ・・・いろんな魔物や幽霊、妖怪が出てくる。
ぼくは比較的ファンタジーとかは苦手だが、この映画はとても懐かしい感じがしていい。
死んだはずの人が、まだこの世にいろんな思いを持ちながら留まっていることも、
あるかもしれないなと思わせてくれる。

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妻が死に、夫は黄泉の国へつながる江ノ電で、死んでしまった妻を引き戻しに行く。
荒唐無稽にみえるが、こうあったらいいなというのが、夢と現実のなかで実にリアルに描かれている。
映画だからできる世界観。
子どもからお年寄りまで、どの世代も満足させてくれる日本のファンタジーだ。

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2017年12月 2日 (土)

「わがまま」のある寛容な社会へ

『「わがまま」のつながり方』(鎌田實著、中央法規出版)が11/19の南日本新聞の書評欄で紹介された。
この本は、一人ひとりがその人らしく「わがまま」でいられるような地域包括ケアづくりについて書いたもの。
書店店主の羽原さんという方が、「生きやすい地域社会へ」と題し、ある障害をもつお客さんとのエピソードを交えて、「わがまま」の大切さを書いている。

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最近書いてきた『人間の値打ち』(集英社新書)『忖度バカ』(小学館新書)、そして来年1月に出す『だまされない』(KADOKAWA)は、怒りの三部作と思っている。
その怒りの根幹には、人間と人間、地域と人間、自然と人間のかかわりが壊れだしていることの危惧がある。
『「わがまま」のつながり方』は、そんなつながりを医療や介護、暮らしによってつなぎなおそうという鎌田の原点に立ち返った本。
地域包括ケアを、一人ひとり自由=わがままを実現する生きたネットワークにするにはどうしたらいいか。

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ぜひ、多くの人に読んでいただき、生きやすい地域社会とは何か考えてもらいたい。

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2017年12月 1日 (金)

相撲界でも忖度?

相撲界の暴行問題は、まさに日本にまん延している病的な忖度ではないか。
土俵の外で、暴力が行われた。
それを示談にしてもみ消そうとしたことから、問題はこじれた。
相撲協会がこの時点で、きちんと決断していたらよかったのだ。
貴ノ岩は「先輩に対して忖度が足りない」ということで、暴行された。
そして、翌日、謝らざるを得ない空気にしている。
暴行された側が謝らなければいけないというのは、学校のいじめでもよくあるパターンだと思う。
大きな権力をもつ横綱が貴ノ岩に「もっと忖度しろ」という空気が、場を支配しているように思う。
白鵬を含めてそこにた力士は、加担していたと考えていいと思う。
こういうよどんだ空気は、暴力の温床になり、星の貸し借りという不正につながったりする。
日馬富士はとても立派な人間だと思う。
それでも、やってしまったことにはけじめをつけないといけない。
相撲協会は絶対に暴力を許さないという原則を、貫き通さなければいけない。

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11/29、鎌田實の新刊『忖度バカ』(小学館新書)が発売されました。
ぜひ、お読みください。

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