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2018年1月 7日 (日)

早坂暁さんのご冥福を祈ります

昨年末、早坂暁さんが腹部大動脈瘤破裂で亡くなった。
88歳だった。
代表作の「夢千代日記」は名作。
自伝的小説の「ダウンタウン・ヒーローズ」は、山田洋次監督により映画になった。
以前、早坂暁さんから直接聞いた話は面白かった。
旧制松山高校の時代、遊郭の女性に恋をしてしまい、駆け落ち。
この女性と同じ彫りものを、早坂さん自身も入れたという。
しかし、その女性とは、追いかけてきたヤクザに引き離されてしまう。
学生運動でで警察に追われ、永井荷風が「迷宮」と呼んだ玉ノ井に潜んだ。
銭湯に入っていると、「追われているんだろう」と言って、うまいものを食わせてくれる男と知り合った。
それが、後の渥美清さん。
渥美清さんは有名になり、
早坂さんも売れっ子の脚本家になっていく。
彼は、心筋梗塞になったり、がんになったりしたが、「死のレッスンをしている」と言っていた。
「鎌田さんどうですか、ぼくと一緒に来世をつくってみませんか。
果たして花野になるか、荒野になるか」
そう言う早坂さんに、「荒野もいいなあ、どろどろになった鎌田も見たい気がします」と答えたのを覚えている。
どろどろのなかをピュアに生き抜いた早坂暁さん。
魅力的な人だった。
心からご冥福をお祈りします。

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