ぼくの好きな思想家②
日本の思想家として気になるのは、曹洞宗の開祖・道元(1200~1253年)。
鎌倉時代初期の禅僧だ。
道元は悟りを求め続け、中国に渡った。
しかし、なかなか悟りに到達しない。
「正法眼蔵」という書物を著す。
そんななかで、悟りを求めている自己を消滅させることで、
真理の世界のなかに溶け込む「身心脱落」にたどり着く。
身も心も全部消滅させ、あらゆる自我意識を捨ててしまうことで、
病や老い、死などをあるがままに受け入れる境地に達していく。
自分ファーストとか、自我意識とか、競争心にあおられて、
心身を削っているぼくたち現代人にとって学ぶべきことが多い。
「春は花 夏ほとどきす 秋は月 冬雪さえて すずしかりけり」
川端康成がノーベル文学賞の受賞スピーチで、この道元の言葉を引用している。
あるべきものをそのまま受け入れること。
現実肯定の思想家道元は、おもしろい。
立松和平の『道元という生き方』(春秋社)もおもしろい本だ。
今月25日の「日曜はがんばらない」(文化放送、午前10時~)の話をするつもりです。
ぜひ、お聞きください。
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