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2018年5月 5日 (土)

鎌田實の一日一冊(334)

『「在宅ホスピス」という仕組み』(山崎章郎著、新潮選書)
この本の中のスピリチュアルペインについての文章が出色だ。
人間には4つの痛みがあるといわれている。
体の痛み、心の痛み、社会的な存在としての痛み、そして、スピリチュアルペイン。
4つ目のスピリチュアルペインは、日本人にとって最もわかりにくいといわれている。
「霊的な痛み」と訳されることがあるが、よくわからない。
キリスト教徒にとっては神を信じ、神の愛につつまれることによって解決していく。

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スピリチュアルペインとは何か。
この世からいなくなる存在のあやふやさによる切なさ、ぼくはそんなふうに考えてきた。
だから、家族のつながりや自分の生きて来たのことの肯定が、スピリチュアルペインをいやすことにつながると思ってきた。
山崎氏は、「スピリチュアルペインとは、その状況における自己のありようが肯定できない状況から生じる苦痛」と定義している。
人間とは何であるのか、人間の本質を探りながら、
山崎氏はスピリチュアルペインを自己と他者との人間の関係のなかで解決しようとしていく。
他者のなかには信仰や自然、哲学なども含まれてくる。
それゆえに真に拠り所となる他者の存在が、スピリチュアルペインを緩和するうえで大事ということだ。
こうした「痛み」についての考察や模索が、たくさんのページを割いて、わかりやすく書かれている。
ぜひ、たくさんの人に読んでもらいたい。

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