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2018年5月 8日 (火)

鎌田實の一日一冊(335)

「カフカ」(フランツ・カフカ著、多和田葉子編、集英社文庫ヘリテージシリーズ)
唐十郎の世界は独特だ。
水たまりから異世界へ入っていく。
ブリキのやかんを見たりすると、そこに入れないかと想像する、と唐さん自身も語っていた。
ぼくはカフカも好きだが、そんなわからない世界観が似ている。
カフカは1916年前後、チェコのプラハ城の裏にある錬金術通りといういかがわしい一室を借りて、夜、小説を書いていた。

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この部屋は、プラハ城の城主があやしい錬金術に凝って、錬金術師を住まわてせいた一帯。
天井が低く、窒息しそうな空間ななかで、彼独特の不条理の世界や穢れの感覚、罪の意識を作品に練り上げていた。
その間には、膨大な手紙を書いていた。
異常とも思える量だ。
気に入った女性がいると、一日に二通も三通も長大な手紙を書く。
そのなかには、君以外には手紙を書いていなから、ほかの人に話されると気まずい、なんていう記述も残っている。
よくいうよ、というような一面がうかがえる。
人間はもともとわかりにくい存在。
自分で自分のことがわからないのだから。

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カフカの作品も新訳で読んでみると、ずいぶん読みやすくなる。
集英社文庫のヘリテージシリーズの「カフカ」だ。
虫になっいてくグレゴール・ザムザが有名な「変身」は、「かわりみ」とルビを振っている。
最近、ちょっと気に入っている本だ。

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