« 小高のラーメン | トップページ | 亡き子の誕生日 »

2018年7月 4日 (水)

風の電話

釜石製鉄所で働いてきたという佐々木さんは、54歳で早期退職した。
彼の言葉でいうと「自分の田舎づくりをするため」だという。
鯨山の中腹を1000坪買った。
隣の山の持ち主が地続きの土地を買ってほしいということで、その土地も買い足した。
そこに森のコンサートやツリーハウスを作った。
庭造りのために鍛冶屋をやったり、花を活けるための器を作ったりもしている。
美しい庭になっている広い土地も、一人で開墾してきた。

Img_9891

そのなかに、電話線のつながっていない「風の電話」がある。
3万人近くの人がこの風の電話を訪ねている。
ぼくも、電話ボックスに入ってみた。
昔のダイヤル式の黒い受話器をとると、過去の自分とつながったような気がした。
「今のぼくの生き方で、お前は納得しているの?」
返事はなかった。
電話ボックスの大きさが心地いい。
そこに置かれているノートには、震災で突然、大切な人を亡くし心の整理がつかないという人の思いが書かれていた。
でも、ここへ来て受話器をとって、うれしかった、という言葉も綴られていた。
死んだ人と今もつながっているという思いが大事なんだろう。
(続きます)

|

« 小高のラーメン | トップページ | 亡き子の誕生日 »