鎌田劇場へようこそ!(395)
「ガンジスに還る」
老いた父親が自分の死期を悟り、インドの聖地バラナシへ行くという。
家族は父親を一人で行かせないように、必死に支えようとする。
しかし、本人は「わしは象だ、行かせてくれ、一人にしてくれ」と聞かない。
象は死を覚悟すると群れから離れることに、自分を例えているのだろう。
そこで、ビジネスマンの息子が父親に付き添い、「解脱の家」を訪ねる。
父親と息子の会話が面白い。
「死んだあと、また今の家族をつくるか」と聞く息子。
父親は、「ライオンになる」というが、その後、「カンガルー」と言い換える。
カンガルーならポケットにボールペンでも紙でもなんでも入れられると、親子で笑う。
父親は、自分自身で死亡広告も書いている。
これを孫娘と息子が笑いながら読んでいる空気がとてもいい。
ぼくもすでに会葬礼状を書いてある。
バラナシには、大きな近代医療の病院もあり、多くの人はそこに行く。
一方、ガンジス川のほとりに死を待つ人のための「解脱の家」がある。
選べるということが、すてきだ。
解脱とは、死と生の繰り返しの輪廻から自由になること。
自分の生に納得し、死を選ぶ父親の姿が印象的だった。
いい映画だ。
10/27~岩波ホールで上映。
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