鎌田劇場へようこそ!(396)
「判決、ふたつの希望」
アカデミー賞外国語映画賞にノミネートされたり、
ベネチア国際映画祭の最優秀男優賞を受賞するなど、評価が高い。
レバノンを舞台にした映画。
中東の宗教や民族、国の闘いのように見えるが、
事件は住宅街で起きた諍いであった。
花に水を撒いていて、その水が人にかかってしまう。
水をかけられたパレスチナ人は、罵声を浴びせる。
彼は、ふだん温厚で人から信頼を集めているが、パレスチナ難民という周囲からの蔑視に、カッとなってしまったのだ。
その罵声に対して、水をかけた側は、謝罪を要求する。
謝罪もできないくらいなら、抹殺されてしまえばよかった、などとエスカレートしていく。
そして、とうとう裁判沙汰へ。
裁判はヒートアップし、政治問題にまでなっていく。
次第にわかってきたことは、最後まで謝罪を求めた水をかけた側の男はキリスト教徒で、
かつて自分の村をイスラム教徒の過激派に壊滅させられていた。
水をかけた側も、かけられた側も被害者であったのだ。
やがて二人は、少しずつお互いを理解しようとする。
今の世界中で「自分ファースト」が横行しているが、そんな世界を見事に表現している。
感動的な映画だ。
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