鎌田劇場へようこそ!(400)
「よあけの焚き火」
今年の小津安二郎記念蓼科高原映画祭で、来年3月ロードショー予定のこの作品が上映された。
蓼科の冬の光景をバックに、
能楽師狂言方の親子の交流が静かに描かれている。
その静かさは、まるで小津安二郎の映画のよう。
ドキュメンタリーを撮っていた土井康一監督が、初めての劇映画を作った。
上映会の後の舞台あいさつで、出演したジャズ奏者坂田明さんは冬の蓼科での撮影の大変さを語っていた。
見ようによってはドキュメンタリーのようだが、純然たる物語である。
能楽師の大蔵流の技をどう伝えていくか。
親子は、一緒に風呂をわかして入るとき、みそ汁を食べるとき、日常のあらゆる場面で、謡いをする。
日本の家族、芸能の伝承がしみじみと描かれている。
来年3月のロードショーには、たくさんの人にみてもらいたい映画だ。
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