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2019年3月10日 (日)

鎌田劇場へようこそ!(414)

「12か月の未来図」
フランス映画。
ブルジョア階級でエリートが通う高校の教師が、ひょんなことから1年限定で郊外の移民が多い学校に赴任する。
貧困と学力の低さを抱えた学校である。
1年間で子どもたちが変わっていくのだが、もっと大事なのは鼻持ちならないエリート教師が子どもたちに変えられていくことだ。
昨年、亡くなられた、地域医療の先達・早川一光先生が30年ほど前、
「鎌田先生、医療は支えられつつ、支えつつだぞ」と話してくれた。
患者さんを支えることも大事だが、患者さんから支えられることも大事だという意味だと思う。
患者さんから支えられること、つまり、患者さんから教えられるということだ。
教師と生徒の関係もそうだと思う。

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映画のなかで、まわりから「君は優秀だ」と思われていると、本当に優秀になるという話が出てくる。
人間には、こういう傾向があるように思う。
緩和ケア病棟を回診するとき、ぼくは「あなたには生きる力がある」と話すことがある。
教師から「あなたはできない子ども」「価値がない」と思われている子どもは、価値をつぶされているのだ。
まわりの大人だって、子どもの本当の可能性なんてわかりはしない。
わからないくせにひどい言葉を吐いて、可能性をつぶしてしまう。
こういう教育や社会を、ぼくたちは猛省しないといけない。
せめて大人の役割は、子どものなかにある可能性をつぶさないことだ。
「12か月の未来図」いい映画です。
4/6から岩波ホールでロードショー。

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