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2019年5月 8日 (水)

チャレンジの20年

佐藤雅彦さんから「65年記念自分史 認知症発病から20年」という冊子が送られてきました。
彼は45歳で若年性アルツハイマー病と診断。
不便になっていく生活を手探りで工夫しながら、今も前向きに生きています。

「私の生きる指針」として、以下のことが挙げらていました。
1、自分には無限の可能性があると信じる
2、人と比べることなく、自分の人生を歩む
3、できないことには目をつむり、できることに着目して生きる
「人のために時間を使う」なんていう項目もあります。

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毎日6000歩を目標に歩いていますが、実際には平均9000歩になるとか。
喫茶店やファミレスなどくつろぎやすい場所で過ごし、
本を読んで何事にも興味をもつなど、時間を大切に生きています。

認知症の物忘れなどがあっても、iPadなどを使ってカバーしています。
文字が書けなくても、iPadを使えば文章を書くことができます。
日記をつけておけば、昨日のことを忘れて不安になったときも読み返すことができます。
食事をしたことを忘れるので、食事の前にiPadで写真を撮っておきます。
洗濯の終了時間には、タイマーもかけています。
こうやって機器を上手に活用しながら、今も一人くらしを続けています。

彼はいつも前向き。
「心がけていること」は、
自分に誇りをもつこと、人任せにせず、自分で考えて行動すること。
たまにはおしゃれをして町に出ること。
そして、新たなことに挑戦することを忘れないようにしているといいます。

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彼は、すてきな絵を描き、賞ももらいました。
初めてピアノも習い、一曲弾けるようになったところで、ピアノの会も開いています。
絵をかき、本を出し、ピアノを弾いて感謝を忘れず前向きに生きている佐藤雅彦さん。
すごいなと思います。

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「認知症になって生活は不便になったけれど、私は幸せです」
そんなふうに言い切る佐藤さんと知り合って、10年近くになります。
2014年、日本テレビの「深層NEWS」にも一緒に出演しました。
先日、突然、佐藤さんから電話をもらいました。
うっかり失念して「どちらの佐藤さんですか」とぼくが尋ねると、
「先生、ボケないで」と冗談を返されました。
彼の65歳の誕生日に招待されましたが、都合が合わず行けないため、
花束を贈ることにしました。

「認知症だから何もできない」なんてことはない。
佐藤雅彦さんの生き方を見ていると、生きることの可能性を感じます。

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