チャレンジの20年
佐藤雅彦さんから「65年記念自分史 認知症発病から20年」という冊子が送られてきました。
彼は45歳で若年性アルツハイマー病と診断。
不便になっていく生活を手探りで工夫しながら、今も前向きに生きています。
「私の生きる指針」として、以下のことが挙げらていました。
1、自分には無限の可能性があると信じる
2、人と比べることなく、自分の人生を歩む
3、できないことには目をつむり、できることに着目して生きる
「人のために時間を使う」なんていう項目もあります。
毎日6000歩を目標に歩いていますが、実際には平均9000歩になるとか。
喫茶店やファミレスなどくつろぎやすい場所で過ごし、
本を読んで何事にも興味をもつなど、時間を大切に生きています。
認知症の物忘れなどがあっても、iPadなどを使ってカバーしています。
文字が書けなくても、iPadを使えば文章を書くことができます。
日記をつけておけば、昨日のことを忘れて不安になったときも読み返すことができます。
食事をしたことを忘れるので、食事の前にiPadで写真を撮っておきます。
洗濯の終了時間には、タイマーもかけています。
こうやって機器を上手に活用しながら、今も一人くらしを続けています。
彼はいつも前向き。
「心がけていること」は、
自分に誇りをもつこと、人任せにせず、自分で考えて行動すること。
たまにはおしゃれをして町に出ること。
そして、新たなことに挑戦することを忘れないようにしているといいます。
彼は、すてきな絵を描き、賞ももらいました。
初めてピアノも習い、一曲弾けるようになったところで、ピアノの会も開いています。
絵をかき、本を出し、ピアノを弾いて感謝を忘れず前向きに生きている佐藤雅彦さん。
すごいなと思います。
「認知症になって生活は不便になったけれど、私は幸せです」
そんなふうに言い切る佐藤さんと知り合って、10年近くになります。
2014年、日本テレビの「深層NEWS」にも一緒に出演しました。
先日、突然、佐藤さんから電話をもらいました。
うっかり失念して「どちらの佐藤さんですか」とぼくが尋ねると、
「先生、ボケないで」と冗談を返されました。
彼の65歳の誕生日に招待されましたが、都合が合わず行けないため、
花束を贈ることにしました。
「認知症だから何もできない」なんてことはない。
佐藤雅彦さんの生き方を見ていると、生きることの可能性を感じます。
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