鎌田實の一日一冊(349)
「100年未来の家族へ ぼくらがつくる“弁当の日”5.7.5」(竹下和男著・写真、宝肖和美写真、自然食通信社
著者の竹下先生とは何度もお会いしたことがある。
元校長先生で、「弁当の日」というのをつくり、食の大事さや作る人、食べる人の身になることの大切さを教えてきた。
その弁当の日は全国に広がった。
本書は、18年間撮りためた写真と子どもたちの残した言葉からすくいあげた川柳で構成している。
竹下先生の言葉はやさしくて、あたたかい。
目玉焼きがごはんの上にのっているだけの弁当に添えられた川柳は、
「自立度にあふれたおかずのある弁当」
病弱だったぼくの母がよく作ってくれた、ごはんの上にコロッケが一個のっているだけの弁当を思い出した。
この人の置かれた状況で、精いっぱい作っている弁当だと感じた。
肉、ナス、玉ねぎの焦がしすぎた焼肉弁当には
「失敗する権利、子どもにあるのです」とある。
いいなあと思う。
これこそ教育なんだと思った。
弁当の日に、みんなの弁当を並べて撮った写真には
「並べたらみんなちがってみんないい」
弁当づくりを通して発見すること、成長することのなんと多いことか。
子どもたちにとって初めての弁当づくりの日は、革命の日だと思った。
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