鎌田實の一日一冊(348)
「お別れホスピタル2」(沖田×華、小学館)
週刊スピリッツに連載中のコミックの第2巻。
主人公は、がんの患者さんだけでなく、老衰に近い人もいる終末期病棟で働く若い看護師。
一話読み切りの物語だ。
その中のひとつ、若い主人公の担当患者が飛び降り自殺をしてしまう。
大きなショックを受けた彼女は、自分の人生や仕事を見つめ直しながら、拒食症で自傷行為を繰り返している妹のことも考える。
命とは何か。
最近、『DEATH 「死」とは何か』(文響社)とい本を読んだ。
イェール大学で道徳哲学を教える著者は、自殺について哲学的に、倫理的に、道徳的に分析していく。
多くのページは自殺に対して否定的な論調だが、ときには同意せざるを得ないときがあるとしている。
日本人は死についてあいまいだというが、この「お別れホスピタル」は死について考えるきっかけをくれると思う。
頼まれて帯を書きました。
「躓き、絶望、死を語っているのに、面白くて、優しくて、深くて、切なくて、泣けてくる、不思議な物語」
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